OCNエコノミーへの長い道
第14部 言い訳
 
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第39章 遠回り

1998年7月24日、NTTの専用線部門にディジタルリーチの矛盾点について問い合わせたが、調べて後で電話すると言ったきり連絡がない。連絡がないうちに、ディジタルリーチは郵政省から認可され、サービスの受付も開始されてしまった。

8月10日に回答の催促の電話をすると、担当者は別の電話に出ているので、後で電話するという。しかしその後も一向に連絡がない。最初の問い合わせからおよそ1ヶ月、8月21日に三たび電話すると、今度は担当者が休みだという。仕方がないので、別の担当者に話を聞くことにした。

県境を超える相互接続を提供できない理由は、「NTTの設備上、県境を超えると回線が遠回りすることになる。例えば、上野MAから奈良MAまでであれば、上野→津→名古屋→大阪→奈良というように、直線距離は短くても、実際の回線の距離は長くなる。そのため、コストも多くかかるため、県境を超える相互接続は提供していない。」ということであった。

予想していた通りの回答ではあったが、それでは、コストのかかる県境を超える回線に限定されるディジタルリーチが、県内の接続よりも先に、料金も大幅に安く提供されるのは、やはりこの理由に矛盾しているのではないだろうか。


第40章 NTTの分割問題

なぜ県境を超えるディジタルリーチを先にサービスを開始し、県内の30kmを超えるディジタルアクセスのサービスは開始されないのか。これについて、NTTの担当者の説明は次のようなものであった。

「来年の7月にNTTは再編されて、東西の地域会社と、長距離会社の3つに分割される。この分割で、県内の接続は地域会社が、県境を超える接続は長距離会社が担当することになる。今回のディジタルリーチはこの分割を見越したサービスで、長距離会社の担当になる。長距離会社としてディジタルリーチのサービスを開始したもので、地域会社の担当になる県内の接続は提供しない。」

そして、「県境を超えると遠回りになりコストもかかるので、サービスの提供地域は、県庁所在地から30kmの範囲に限定している。三重県であれば、津から30km以内でしか提供していないので、四日市でも津から31kmになるので提供していない。」そうだ。当初の認可申請内容では「全国で提供」とあったのに、いつの間にサービス内容を変更したのだろうか。

さらに私が、「需要の多い県内接続もできるようにすると、従来のHSDの客が多くディジタルリーチに変更して売上が減少するので、需要の少ない県境を超える接続に限定したのではないのか。」と指摘すると、「実際、津と四日市の間でディジタルアクセスを利用したいという、新規のお客様がたくさんいるが、31kmで提供できない距離なので、仕方なくお断りしている。私たちとしては、30kmを超えるディジタルアクセスを提供したいと思っている。」とのこと。

最後に、30kmを超える県内のディジタルアクセスの提供予定について聞いた。担当者の話では、「30kmを超える県内のディジタルアクセスの提供については、お客様の要望も多いので引き続き検討している。県内接続はNTTの地域会社の担当になり、提供の時期は、NTTが分割される来年の7月以降になる予定である。」という。いったい、いつまで待たなければいけないのか。


第41章 提供エリアの拡大を期待

9月3日、OCNエコノミーが料金の値下げを検討しているというニュースが入った。それによると、OCNエコノミーはインターネットの常時接続サービスとしては最大の1万5000人のユーザーを獲得していて、ユーザー数も順調に伸ばしている。OCNの事業が2000年までに黒字化する見通しが出てきたため、OCNエコノミーの値下げなどのユーザーへの還元を検討しているという。

ユーザーへの還元方法として、OCNエコノミーの料金の値下げをはじめ、サービスの品質を上げること、提供エリアを拡大することの3種類のうち、いづれかの方法での還元を考えているそうである。ここは、OCNエコノミーの提供エリアの更なる拡大を、大いに期待したいものである。


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